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住宅メーカーの存在意義

大きなハウスメーカーがやってることは、材料の大量調達と住宅の規格化によるコストの削減です。規格化された住宅を年間うん万棟とか建てる場合、材料を大量に調達することで安く仕入れできます。
(ただし膨大な保管料がかかるので、大量に仕入れて使うまで保管しておくというようなことはしません。)

従って、小さな住宅メーカーはそんなにたくさんの住宅を建てるわけではないので、資材管理によるコスト減はできません。

また小さな工務店でもある程度の規格化というか、まかせられた時にすぐ対応できる規格をもっています。つまり、小さな住宅メーカーは中小工務店と同じ内実を持つのです。

さて、大手住宅メーカーはそのようにコスト削減することで、安価に住宅を供給することができているか?というとそうは思えません。なぜかというと、スケールメリットを生かすには数を売らなければいけません。

売るためには広告宣伝して、営業の層を厚くしてユーザーとの接点を多く持たなければいけません。そうして組織の規模が大きくなると、社員を養うのに利益を多く出す必要に迫られます。自転車操業みたいなものです。

大手住宅メーカーが1棟あたりにのせる経費は建設費の40%程度と言われています。その内の純粋な利益がいくらかは公表されていませんが、それはどうでもいい話です。

問題は実際に建設にかかる費用とそれ以外の費用との割合です。ここで経費がこれほど大きいのは会社全体の人件費や広告宣伝費を背負わされているからで、また会社の規模によって純利益も多く求められるからです。

なぜそれが問題かというと、実際に建設にかかるコストと最終的な値段の乖離が激しくなると価格操作の度合いが高くなるからです。前回記したように元々建設することにはある程度価格をいじる行為が含まれています。それが元の値段から大きく離れているほど、どうとでも操作しやすいわけです。

実際、大手住宅メーカーでの家の値段は販売戦略として決まっているはずで、住宅の内実に比例すれども、優先されるのは全社的に決められた利益率です。

人間的な交渉ごとのようなイレギュラーは許されないシステムなので、ヘタな値引き交渉をすると知らないところで仕様ダウンして処理されることになります。

値段設定はやはり住宅のグレード、地域、ターゲット層などを考慮して決めるのでしょうが、基本的には中小工務店含む競合他社を意識するでしょうから安売り戦略をとらない限り、そこより安くなる設定はしないでしょう。

大きな住宅メーカーが建設にあたって設定する経費は、良くて資材調達と規格化によるコスト減との相殺。住宅の内容を比較してみると、私の目には工務店がつくる住宅よりむしろ高いように見えます。

それでもなお、大手住宅メーカーの存在意義を見出すならその補償能力の高さのためであり、従ってコスト増分は保険と考えるのが妥当でしょう。

実際、メーカーが他で補償したコストは皆が建設した家の建設費に載せられるわけで、正に住宅建設に当たって自動的に保険に入るようなものです。

by O-noli | 2008-02-25 16:25 | column

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