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南大阪教会
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以前に訪れた南大阪教会について書きます。1928年、渡辺節事務所時代の村野藤吾が塔のみ設計したものですが1982年、自身の手で改築、会堂を再整備したものです。

隣は幼稚園になっていて教会が運営しているそうです。幼稚園舎は特記することもない建物ですが、教会事務所の方にきくと設計は村野事務所名義だそうな(おそらく監理も。業界特有の事情でしょう。それ以上掘り下げません)。

外観を見ると、塔は現代から見るとポストモダン調で様式やスタイルの引用・混淆が見受けられます。

村野は様式は否定していましたが、装飾は必要だとしていました。スタートの時点で既にモダニズムとは一線を画しているのですから。このモダニズムに批判的なスタンスは終始一貫していました。(歴史的にはモダニズム批判は1960年代から、ポストモダニズムは1980年代からということになっています)。少なくとも30年は時代の先を行っていたわけです。
ただし、このスタイルの参照元はプレモダニズム。様式から装飾をそぎ落として、モダンスタイルに移行しようとする段階のものです。

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改築された会堂の方はドイツ表現派風の部分的な曲線のきいた外壁にリシンの掻き落としという村野好みの定番仕様です。

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会堂については引きがまったくないので全貌が把握しにくいですが、不定形に見えて内外ともほぼ左右対称になっています。内壁も外部同様リシンが主な仕上げとなっていますが、3×6の継ぎ目が目立つので叩いてみるとボードでした。改築前がどんな建物だったかわからないですが、元の躯体は生かしておいて、内部については躯体から浮かして曲面を作るようにボードを立てこんだものではないかと思われます。

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おもしろいディテールはたくさんあるのですが、一箇所だけ書きます。両サイド壁際にある一席ずつ区切られたアルコーブですが、座席は縦長の窓を背に座り、上部が堂内への間接照明になっています。ここには自然光を入れるためのガラスブロックが嵌められており、照明は補助照明として設けられています。
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外観はこんな感じです。
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僕はいきなり訪問して失礼なことをしてしまいましたが、見学の際はあらかじめ連絡を入れてほしいとのことでした。
by O-noli | 2007-09-17 22:41 | 建築探訪

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