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箱木家住宅
ここのところぐずついた天気が多いですね。週末に手が空いたから出歩こうと思い立ってもなかなか天気と噛み合いません。そんな中、唯一噛み合ったのが以前から見に行きたい候補にあがっていた箱木家住宅です。
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重要文化財にも指定されている箱木家住宅は箱木千年家と通称され、移築復元された母屋は日本現存最古の民家ともいわれる。学生時分に訪れたときは小屋組や茅葺きに多用される縄や手斧(ちょうな)で仕上げられた柱や板など主に工法、技術的な部分に関心があった。
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今回訪れたのはプロポーションやテクスチャーなど、どちらかというと美的な視点からの空間体験が目的でした。昔から手の痕跡の残る素朴な仕上げは好きだったので、テクスチャーとしてはもう一度見て触りたかったというべきでしょうか。

全景は軒が深く下がりいいバランスなのですが、写真や図面では伝わりませんね残念ながら。囲炉裏のあるオモテに大きな開口がありますが、他は正面出入口と勝手、あかり取りの小開口しかありません。また外壁はすべて土壁の大壁になっています。

つまりファサードの構成は、概ね壁があるかないかという違いしかなく構成する要素が少ないので、柱のスパンがまちまちでも気にならないし、シンプルで素朴な美しさを感じることにもなる。構成することをやめると浮き上がってくるフォルム。ミニマリズムがフォルマリズムとの批判を浴びるのはそういった点を指しているのだと思います。

が、現代と違って、できるべくしてできたミニマルなファサードには現代建築にみるミニマリズムとは比較にならない強度があります。未発達な技術による架構で厚く茅を葺いた大屋根を支えないといけないので、あまり開口がとれないのだろうし、土壁を厚くすることでしか性能を担保できないから外壁は厚い土壁になっているのでしょう。

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前述の通り外壁は土壁となっているのに対して、内部間仕切りは板でできています。さらに内部の約半分程度が板敷きの床になっている(もう半分は土間)ので、柱・梁と同じ手斧仕上げの黒光りした板が度々目にとまります。
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彫刻刀の浅い丸刀で彫った面がそのまま大きくなった感じのテクスチャーは柱・梁のような部材より、壁板・床板といった面材のほうが迫力があります。目を楽しませるだけではありません。撫でてよし、素足で歩いてよし。

茅・土・木ほか自然素材に総じて言えることですが、やはりいい材料には手間がかかります。経年変化もあれば劣化もある。メンテナンスフリーとは程遠い素材ですが、素材を知り、適所に使い、メンテしながら時を重ねていった材には何ものにも替え難い愛着が生まれるものです。
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by O-noli | 2007-07-05 22:13 | 建築探訪

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