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大塚国際美術館
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まあ自分には縁のない場所だと思っていましたが、何でもこの4月にシスティナ礼拝堂の天井画が完全復元相成ったとのことで、物好きな友人に誘われて訪れた次第です。

ご存じの方も多いでしょう。陶板で世界の名画の複製をつくって展示しています。全て原寸で一部礼拝堂など空間全体を再現しているものもあります。常設展示スペースとしては日本最大を誇る私設の美術館。

大塚国際美術館は大塚製薬グループが創立75周年を記念して設立。原画を陶板に転写する技術は大塚グループの大塚オーミ陶業が開発した特殊技術です。
オリジナルの壁画、絵画が退色劣化を免れないのに比して陶板は2000年以上の驚異的な耐久性を発揮できるので文化財の記録・保存、また復元の新たな手法として技術を売っているらしい。

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初めて世に出たのは1990年の国際花と緑の博覧会で「最後の審判」など4点が制作された。その後京都府に寄贈され4点が加えられて現在、京都府立陶板名画の庭として一般公開されている。

京都府立陶板名画の庭(こちらは完璧に原寸というわけではないらしい)へは2、3回訪れていて、陶板による再現のいい面、悪い面はだいたい理解していた。だから大塚国際美術館においてもそれほど驚くほどのものはない。ただそのいい面を最大限に活かした環境復元の展示空間にはやはり人並みに興味があった。

結論からいうと一定の評価はあげてもいいかなと思った。どうしても目地が見苦しいしテクスチャーの再現についてはどうしようもないけど、雰囲気は伝わる。
オリジナルを現地で見る機会のない庶民としては何も言い返せません。

さて展示品は全部で1000点余に及び、メンタルにはさほどどうということもありません(大半の額装された複製品は特に興味を惹かないので)がフィジカルにはこたえます。小走りに見て回っても2時間。

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古代〜現代にいたる美術品の数々を原寸で一同に集める。人の一生に比べたら永遠の耐久性を持つ複製品。僕はそこに執念・欲望を感じます。博物館的な欲望。博覧会的な欲望。
古い西欧の博物館は個人の欲望と略奪のおかげで成立したようなものですが、ここは平和的に複製で網羅することができる。コストはかかりますがまあ絶対にありえない収集展示ができるわけで、そこがミソということですな。

個人的には通史で原寸展示されているので、美術史の教科書読むよりよほどいい勉強になるし身に付くと思いました。ちゃんと予習していけば、なおいいとも思いましたが。

美術館キュレーター垂涎。夢の展示も叶う。いずれどこかで企画された展覧会の展示品の穴埋めに貸し出されたりする日が来るのかな。
by O-noli | 2007-05-18 10:42 | 旅の空間

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