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坂の上の雲ミュージアム
その「坂の上の雲ミュージアム」とは司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」、その主人公〜秋山兄弟と正岡子規、ともに松山出身〜に関する展示を行う施設で、松山城の城山南ふもとに司馬遼太郎つながり(?)で安藤忠雄が設計しました。

現地でその情報を得たものの、松山くんだりまで来て安藤さん?どうしようかとも思いました。でも結果的には安藤さんらしくなくてこれはこれでおもしろい建物でした。前回書いた2割増は何も僕みたいな建築オタクによるものでなく、司馬遼ファンによるものであることは間違いないらしい。
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久しぶりに見た安藤さんの新作は斜めに傾斜した壁が多くて驚きました。導入部のスロープ、観覧動線の組み立て、三角形平面、吹抜けホール、トップライトの光の入れ方など断片的に安藤さんらしさが散見されるのみで、全体を支配する印象はデコンストラクションに近いものでした。

坂の上の雲ミュージアム_e0080571_050656.jpg
表参道ヒルズはそうでもなかったけど、東京での近作や地中美術館(実見はしてません)は確かにそれっぽかった。うーん安藤さんも変わっていくなあ。巨匠に変節はつきものということでしょうか。

上に書いたとおりこれはこれでおもしろいし、マンネリを脱していくためにも変節は必要なのですが、その建築家らしさというのは残っていってほしいと思います。

バランスの問題と言えると思うのですが、例えば出雲歴史博物館の槇さんも少し変わったと感じました。コールテン鋼という質感、ランダムにずれた角度をもつ異物、谷口吉生を感じさせる部分。でも匂い立つような空気感、槇さんらしさが厳然と存在していました。

初期から考えると槇さんのスタイルの変遷も激しいものですが、それでも一貫した槇イズムを纏っていました。今までコンクリート以外の素材の探求もすれど、安藤さんの空間はやはり安藤さんっぽい独特の質を持っていた。木を使おうが、鉄を使おうが、ガラスを全面にだそうが。ひっくり返して考えると、よく今まで変わらなかったなあとも思える。

ここから新しい安藤イズムが生まれる過渡期なのかもしれないし今後すこし注目したい。
by O-noli | 2007-05-10 00:55 | 建築探訪

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