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建築の表皮採集(4)
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細見美術館(設計:大江匡/PLANTEC)
今はもうあちこちで見かけますが、大江さんは割と早い時期から珪藻土を使っていました。今は組織事務所っぽい仕事が多くなって、規模が大きいので見かけなくなりました。

これは比較的小規模の店舗や事務所などを手掛け、珪藻土の仕上げが彼のトレードマークになっていた頃の私設美術館です。コンクリートの下地に珪藻土塗り壁、櫛引で仕上げています。

面も広いのに目地がないので気にして見ているのですが、目立つクラックがありません。コンクリート下地なら結構強い塗り壁になるのかもしれません。

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京都会館(設計:前川國男/前川國男建築設計事務所)
僕は京都会館の壁はずっと大型のタイルだと思っていました。こないだ前川國男展を見に行って、これがレンガブロック積みだと知ってびっくりしました。展覧会行く前もここに寄ったのですが、帰りも急いでとって返して凝視してきました。

なぜレンガ積でタイル貼りを表現したのか?

京都会館は打込みタイルのスタイルを完成する前の竣工なので、この大きなサイズでやりたかったということに間違いないでしょう。大型のタイルは特に剥落の危険があるので、コンクリート打設時に打込む工法を編み出すまでは使えなかったのですね。

話は変わりますが、逆に明治終り頃から大正〜昭和初期のレンガ積みの洋館はレンガに見せかけたタイルというのが多いです(大阪歴史博物館「煉瓦のまち、タイルのまち」展を観に行った方はご存じだと思います)。

レンガ造、ブロック造なんかは、地震でイチコロなので主体構造を鉄筋コンクリートに置き換え始める時期なのです。大体は目地を見ればわかりますが、肉厚のあるレンガタイルで目地詰めをうまくされると見た目わかりません。

コンクリートはあくまで下地。で外装化粧としてはレンガが一番でタイルは安物。という価値観の時代。時代はその後タイル万能、全盛期を迎えます。その延長上で前川は自分の表現したいタイル貼りの姿をレンガで代用したという言い方はできそうです。

でも前川の時代は同時にコンクリート打放しが市民権を得る時代で、それまで素っ裸のような感覚であった下地のコンクリートが仕上げとして用いられ始める時代でもありました。おもしろいものです。
by O-noli | 2006-11-28 22:25 | texture

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