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都市軸のこと
前回に引き続き、軸のお話。

都市計画や都市を見据えた建築計画において、まず都市軸というものを設定し、そこを幹にして全て決めていく。今や特に珍しい手法でもないし、都市を読み解く上でも重要な概念となっている。

近代建築において、少なくとも日本において、都市軸を主役にして建築計画を初めて行ったのは丹下健三ではないか。広島平和記念公園では東西に走る平和大通りに直行する南北軸を、その軸が慰霊碑と原爆ドームを通るように設定し、それを根拠として平和記念資料館など建屋配置が決められ、公園も整備されている。
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さて、この南北軸がちょうど平和記念公園から南へ伸びる吉島通りに重なる。吉島通りはこの後緩くクランクするものの、同じ方角を保ったまま海へ向かい、広島市環境局中工場(設計:谷口建築設計研究所)へと達する。

広島市環境局中工場の中身はゴミ焼却プラントなので、まあほぼ建築計画なんてゆとりはなく、プラント配置によるボリュームが決まっていて、さて箱はどうしようか?といった類の建築です。
普通に建てれば、吉島通りの突き当りに海への見通しを塞ぐバカでかい衝立てができることになるのでしょう。
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ここで件の都市軸です。谷口さんは吉島通りのドン突きで衝立てに風穴を開けて、見通しを確保、パブリックに開放しました。この空間はプラント見学、環境局のPRに利用し、海岸まで通り抜けできるようになっています。
外観に関しては事実上、さほど見通しがきくわけではありませんが、圧迫感の低減にはかなり有効です。
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このボイドを計画し実現していく過程で、もちろん上記のような効果や利用を見込んで、アピールして市サイドを説得していたのでしょうが、おそらく平和記念公園からの都市軸を通すということは、その根拠として強力な説得力を持っていたのではないかと思われます。

相手が公人であることもありますが、都市軸という言葉が極めて概念的なものでありながら、強い力を持ちうるということです。
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by O-noli | 2012-09-05 11:08 | 建築探訪

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