2006年 05月 26日
摩耶観光ホテル
摩耶ホテルの古い絵はがきが出てきました。祖父の遺品で、現役時代の写真は見たことがなかったのでとって置いたものです。
最近の廃墟ブームにのって、大変有名になっています。それは廃墟として絵になるからというのが理由のようですが、建築史的にもなかなかおもしろい物件です。 1929年竣工、同年営業開始とのこと。設計者が知りたかったのですが、わかりませんでした。アール・ヌーボー調とありますが、どうあがいてもアール・デコです。 これは実際に当時の宣伝パンフで、アール・ヌーボー調を謳い文句にしていたためのようです。当時、ほとんど同時期にアール・ヌーボー、アール・デコのデザイン様式が日本に入ってきたため混同されて理解されていたというのはよくある話です。 アール・ヌーボー、アール・デコ建築とは基本的にはデザイン/スタイルの輸入で、主にインテリアデザインに限られるのが日本でのあり方です(一部、例外有り)。従って、当時の内装・備品がそろった状態で見ないと本当のところわかりませんが、残っている照明器具や扉、窓の切り方など見る限りではよくてデコですね。 外観は様式建築からモダニズムへの移行期、装飾を極力排した近代建築です。その特異な立地条件に沿って、その条件を生かすための形態が、そのまま表れているところがとても魅力的です。その建ち方から僕はライトの山邑邸を連想します。 コメントいただいた nk8513氏のサイトを参考にさせてもらって、絵はがきの頃を推測すると1930〜1943年の間ということになりそうです。 その頃は摩耶山ホテルと呼び、短命なホテルとしての第1期黄金期に相当するようです。
by O-noli
| 2006-05-26 10:43
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