2006年 02月 05日
大谷石採掘場跡
栃木県は大谷。大谷石の採掘場跡です。大谷石というのは、多孔質でやわらかく、また風化しやすい石です。味わいのあるざらっとした質感を気に入って、F.L.ライトが日本での仕事に使ったことで有名。
写真の採石場跡は最深で地上から30mとのことです。石を建築物の柱のように残しながら、大谷石を切り出すことで約2万㎡ともいわれる地下空間が生まれました。僕がここを訪れたのは15年くらい前で、そのころは地上部の陥没なんかが問題になっていて、産業遺構として公開はされていたものの危険なお荷物みたいな場所でした。 そんな場所だったので、その時も1、2組の観光客とすれ違う程度で閑散としていました。さてこの空間、まさに神殿、サブライムの美学を絵に描いたような(?)空間です。とても静かでひんやりしていて、一人で歩いているので、異空間をさまよっているよう。加えて地下の湿気た臭い、大谷石の触覚的なテクスチュアなど、五感を通して場所を認識させる。なかなか衝撃的な経験でした。 インドや中国には多彩な石窟寺院があって、岩盤(地面)を下へ掘り進んで地下に疑似地上を設定し、岩を普通の建築のように彫刻してしまう(もちろん内部にも入れる)石窟寺院があります。切石を積んだかと見まごう精巧な彫刻です。ここは精密に彫刻されたわけではないですが、空間の質としては同じではないかと思います。 この採掘場跡はその後、空間の質がアーティストの心をくすぐり、ダンスパフォーマンスやコンサートの会場に使われたりしているとききました。HPを調べてみると、きちんと整備され、ギャラリーやコンサート会場として利用されているようです。その上なんと地下の教会ができていて、結婚式に使われるそうな。今や地域にとって重要な観光資源になっているようです。
by O-noli
| 2006-02-05 20:07
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