2005年 12月 11日
流店
流店(りゅうてん)と読みます。
日本三庭園(ほかに水戸偕楽園、金沢兼六園)のうちの一つ岡山後楽園にあります。 本当のところ回遊式の大名庭園はあまり好きでない。結局は回遊しながら、展示品を眺めるようなそんな形式になっているから。でも行けば行ったで印象に残る絵(風景)があったりするのも事実で、ために嫌いにはなれない。上記のほか2庭園はまさにそんな場所で、かえって好きだったりする。 しかるにこの後楽園はそれこそ絵に描いたような回遊式庭園で、好きになれる絵もあまりなかった。庭園は1700年頃につくられたもので、閑谷学校を設計した津田永忠によるものとのこと。さらに曲水の園として有名で、付属建家が残っているのはここの流店のみとのこと。写真は少なくとも3度目の訪問、流店目当てで訪れた時のもの。 流店は2階建て、2階は園内にある田の農作業風景を殿様が眺めるためのもの。1階は4面とも吹きさらしで、棟行の長手方向約10mにわたって曲水を引き込んでいる。流れの中には石が数個打たれ、乱流を起こす。スケールは小さいが、水と建物との関係が非常に近い。ライトのFallingWaterや宮島の厳島神社なんかを思い出します。商業施設なんかでよく施設の内外にわたって水の流れがあったりするけど、飼い慣らされた自然もしくは人工の水といった感じでいただけない。 もう一つ、気付くのは日本建築のフレーミングの効果。借景というのは本当の意味が、どうだかわからないくらい使い古されていますが、僕は見立てとフレーミングだと思います。あるものを別のものに見立てる目を持つこと。それをカットアップして取り込むためにフレーミングすること。 流店の4面開放は、パノラマ景観をフレーミングするために有効に作用しているのではないか。というのは仮定であり、次の対潮楼へのフリでもある。
by O-noli
| 2005-12-11 16:07
| 建築探訪
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