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蹴上浄水場/旧並河邸
世はGWということで、昨日(もう一昨日になりますが)家族連れで京都に行って来ました。
まずは蹴上浄水場。こちらはツツジが有名で、毎年5月あたまの時期に公開され施設内に入ることができます。今年は5/1〜5/4までの4日間となっていました。

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ツツジの開花状況を見ながら公開期間を決めているようですが、その割にはちょっと寂しい感じ。部分的には満開なのですが、全体的には五分ぐらい。一番てっぺんにあった配水池の屋上に植えてあったキリシマツツジが満開できれいでした。

さておき、僕の目的は第一高区配水池と本館にありました。
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第一高区配水池はこの蹴上浄水場が稼働開始した当初の唯一の生き残り施設で、疎水関連施設を多く設計した田辺朔郎によるもの。西欧城郭を思わせる双塔が目を惹きます。

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本館は増田友也の設計でおそらく当初、RC打ち放しであったろう躯体にはペンキが塗られ、下層躯体内部にはこれまたおそらく後年の補強と見られる斜材が入っていました。
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施設は地形にめり込むように配置されており、最上層からもアプローチできるようになっていて、どうやらこちらがメインアプローチのようです。外観はバルコニー腰で水平を強調し、立面を整えるように塔屋が配されています。
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最下層部分で東側に長く突き出している部分はスチールサッシの全面ガラスで柱梁構造を明快に見せて、いい感じです。しかし両サイドが旧ろ過池で現在使われておらず撤去予定となっているため、一緒に撤去されてしまうかもしれませんね。

あと内部は所詮、浄水場の上屋施設ということで見るべき部分もありません(ホールは少し作り込んでいましたが)。

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その後、鹿ヶ谷、泉屋博古館(こちらは6/28まで。逃すと秋の公開まで入れません)を回って、並河靖之七宝記念館を訪れました。

ここの目的は植治(小川治兵衛)の庭です。特に庭に引き込まれた琵琶湖疎水の水と建家との関係が素晴らしく、是非一見したいと思って出かけました。

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池は旧並河邸の二方に回された縁側の下までを侵入しており、角の柱の礎石を池の中に据えられた石が兼ねています。
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庭側を全面ガラス障子とし、内部からは水に浮かんでいるように見せることを意図しています。縁側は廻り縁になっており、畳が敷き込まれ居心地のいい場所になっているので、ここに佇む(座ってもいい)とその意図するところがよくわかります。

庭は植治の手になるので、池を縁側の下までもってくるのも植治の提案です。でも建家側からもその意図に対応した結果であろうしつらえがあるので、これは見事なコラボレーションだと言えましょう。

建家の方も普通の町屋の裏に書院造りを接続したような、ちょっと珍しい作りになっています。内部と外部が交錯しており、空間の連なりが非常におもしろく思われました。

ほかにも岡崎近辺、東山裾あたりには植治の庭がたくさんあります。非公開のものも多いですが、見れるものは機会あるごと見て回ろうと思います。
by O-noli | 2009-05-05 00:25 | 旅の空間

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